
「子どもが最近学校に通わなくなってしまった」
「不登校の原因が分からないときは親としてどうすればいいの?」
ある日から子どもが学校へ通わなくなり、親としてこうした悩みや疑問をお持ちの方もいると思います。
子どもが不登校になる理由には様々なものがあり、親が必死に理由を尋ねても子どもが答えてくれないこともあるでしょう。
本記事では、子どもが不登校になってしまう理由や原因が分からないときに親として何ができるかについてご説明します。
また、子どもに対してやってはいけない対応についてもご紹介しますので、子どもとの接し方にお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
1.子どもが不登校になる理由
まず、不登校の定義について見ていきましょう。
平成13年の文部科学省の資料によると、「何らかの心理的・情緒的・身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者」となっています。
なお、病気や怪我などの明確な理由で学校に通えない状態は不登校には該当しないとされています。
また、定義からも明らかなように、不登校へと至る要因や要素は様々なものがあります。
よくある不登校の理由としては、以下のものが挙げられます。
- 学校での人間関係
- 無気力
- 学業不振
- 家族関係や家庭環境
- 生活習慣の乱れ
ぜひチェックしてみましょう。
(1)学校での人間関係
不登校になる理由として最も多いのが、学校での人間関係です。
ここには、クラスメイトや同級生だけでなく、先輩や後輩、そして学校の先生との関係も含まれます。
人間関係と聞くと、生徒どうしのトラブルやいじめ問題に目がいきがちですが、先生の発言や態度などが原因で不登校となるケースも考えられることも覚えておきましょう。
(2)無気力
無気力は、子どもの現代病とも言われ、不登校になる理由としても人間関係に次いで多いです。
特に思春期の子どもはホルモンバランスの変化や周りを取り巻く環境の変化、プレッシャーなどによって無気力の状態に陥りやすいと言われています。
真面目で落ち着いており、成績も平均以上の子どもに多いのが特徴です。
こうした無気力状態については、周囲も本人も原因が分からないという場合が少なくないため、対処が難しい理由の1つです。
(3)学業不振
学業不振も不登校になる理由として挙げられます。
学年が上がることや小学校から中学校へ進学したことなどによる勉強のレベルのギャップで、テストの点数や成績が伸び悩んでしまい、授業を受けるのがつらくなることがあります。
また、受験勉強や進路・進学のストレスや不安から不登校になってしまうケースも見られます。
(4)家族関係や家庭環境
これまでは学校に関する理由を取り上げましたが、不登校の理由が家庭にあるケースも見られます。
子どもと親との関係だけでなく、両親の離婚や言い争いなどの親どうしの関係にも原因がある場合も考えられます。
子どもと親、あるいは親どうしの関係がうまくいかないことによって子どもが次第に心を閉ざし、家庭内暴力や非行などの問題につながるケースも珍しくありません。
(5)生活習慣の乱れ
不規則な生活習慣によって不登校になるケースもあります。
テレビゲームやスマホ、勉強や習い事などによって睡眠不足に陥り、朝起きることができなくなり、不登校となってしまうのです。
また、こうした睡眠不足などの原因が低血圧や頭痛といった体質や体調不良にあるケースも見られます。
このような体調不良が精神的なストレスに起因する場合があり、本人がそれに気づいていないケースも多くあります。
そのような場合には、親が注意深く子どもを見守ることが大切です。
2.不登校の原因が分からないときに親ができること
子どもが不登校になる理由としては、上記のように様々なものがあります。
しかし、親が理由を尋ねても子どもが答えてくれず、理由が分からないという場合が多数でしょう。
以下では、子どもが理由を話してくれないときに、親として子どもにできることをご紹介します。
- 子どもの気持ちを理解する
- 子どもと過ごす時間を作る
- 専門家に相談する
- フリースクールを活用する
ぜひ参考にしてみてください。
(1)子どもの気持ちを理解する
子どもが不登校になってしまったときに最も大切なことは、子どもの気持ちに寄り添うことです。
子どもの気持ちを尊重し、話を聞く姿勢を持つことが重要です。
具体的には、子どもの話を聞く際に途中で話を遮ったり、感情を否定したりしてはいけません。
子どもの話に共感しながらしっかりと話を聞くことで、子どもに安心感を与えることが何よりも大切です。
(2)子どもと過ごす時間を作る
不登校になった場合、子どもは1日中スマホを触ったりゲームをして過ごすことが多いでしょう。
しばらくは様子を見守るのもいいですが、一緒にテレビや映画を見たり、子どもの体調や気分によっては一緒に出かけるなど、日常生活を共に過ごすことも大切です。
子どもと過ごす時間を作ることで、自然と会話が増え、信頼できる関係を築くことができるでしょう。
また、家庭に子どもの居場所を作ることで、子どもが自分の殻の中に閉じこもったり、非行に走ったりするリスクを抑えることにもつながります。
(3)専門家に相談する
子どもの不登校を解決しようと親が自分を追い詰めてしまっては本末転倒です。
自分の力で解決ができないと感じたら、専門家や支援機関に相談してみるのがおすすめです。
例えば、全国の小中学校にはスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーという専門家が配置されています。
子どもの心理や福祉に関する専門知識と実務経験を有するため、学校や地域・医療機関などと連携しながら不登校の子どもの支援を図ります。
また、精神的ストレスが不登校の理由である場合には、精神科や心療内科などの医療機関で治療を受けることで解決が図られる場合があります。
そのため、一定の情報を集めておくことも重要でしょう。
(4)フリースクールを活用する
子どもの不登校の課題を解決するには、子どもにとって居心地のよい居場所を作ることが重要です。
そのため、フリースクールを活用することで解決できる場合があります。
フリースクールとは、不登校の中学生などに学習支援や体験活動などを行う民間施設のことです。
フリースクールでは、子ども中心の発想のもと、子どもが来やすい・相談しやすい環境作りを通じて不登校の課題解決に取り組んでいます。
子どもがフリースクールを新たな居場所と感じることで、安心や自信を取り戻すことが期待できます。
また、子どもが前向きに物事を考えられるようになることは、親にとっても大きな安心につながるでしょう。
3.親がやってはいけない対応
子どもが学校へ行かない理由を親に話さないときには、親もその理由を突き止めたいと思うでしょう。
しかし、子どもが理由を話さないときに親がやってはいけない対応があります。
具体的には、以下の通りです。
- 無理に登校させようとする
- しつこく理由を訊く
- 不登校を放置する
これらの行動をとってしまうと、不登校を解決できないどころか、状況がさらに悪化する恐れがあります。
順にご説明します。
(1)無理に登校させようとする
学校に行きたくないという子どもを無理に登校させるのは絶対に避けるべきです。
子どもの気持ちを無視すれば、親子関係や家庭環境の悪化にもつながります。
また、さらに学校が嫌になって不登校が長期化する可能性もあります。
不登校を解決するためには、まずは親子の信頼関係を築くことが大切です。
子どもの不安に寄り添い、環境を変えたり整えたりすることを検討してみましょう。
(2)しつこく理由を訊く
親が子どもの不登校の理由を知りたいと思うのはもちろんですが、しつこく尋ねるのは避けましょう。
不登校になった理由を話したくない場合や自分でもよく分かっていないという場合には、子どもを追い詰めてしまうことにつながります。
子どもにも、話さないことについての事情があることを理解することが大切です。
(3)不登校を放置する
理由を話してくれないからといって、子どもの不登校を放置することも好ましくありません。
このような対応をすることで、子どもは親が自分に興味を持ってくれていないと感じ、傷ついてしまったり心が不安定になってしまったりします。
また、親に何も言われないことで、スマホやゲームに依存していくリスクもあります。
子どもの気持ちを安定させることを優先し、日常会話などを通じて子どもが自発的に話すときを待ちましょう。
まとめ
本記事では、子どもが不登校になる理由や対処法、親がやってはいけない対応について解説しました。
不登校になる理由は様々であり、複数の理由が複雑に絡み合っているケースもあります。
また、本人も理由が分からず不安や苦しさを抱えている場合があります。
そのような場合には、子どもの行動や思いに共感し、気持ちを尊重することが重要です。
子どもの普段の言動や様子を注意深く見守ることで、原因や対処法が見つかることもありますので、専門家や支援機関とも連携しながら子どもに合った方法でサポートを行いましょう。