
「うちの子は真面目で、反抗期らしい反抗もなくて……」
「小さい頃から手がかからなくて、親としては安心していたんです」
そんなお子さんが、ある日突然、暴言を吐き、物を壊し、母親に手を上げる――
信じられない現実に直面し、茫然とするご家庭が少なくありません。
「なにがきっかけだったのか思い出せない」
「どうしてこんなに荒れるようになったのか、まったくわからない」
けれど、私たちは知っています。
このタイプの暴力こそ、見過ごされてきた心のSOSが、限界を超えて噴き出した結果であることを。
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“いい子”の仮面に隠されたもの
真面目で、勉強熱心で、先生にも褒められ、親の言うことにも素直に従ってきた。
外から見れば問題のない子ども。
でも、その“優等生”ぶりは、本当に本人の望んだ姿だったのでしょうか?
• 期待に応え続けてきた
• 失敗や弱さを見せられなかった
• 親に心配をかけたくなかった
• 周囲の空気を読み続けた
そうして自分の“怒り”や“悲しみ”を、ずっと心の奥に押し込めてきたのです。
そしてある日、感情の容量が限界に達したとき、
それまで自分でも抑えていたはずの“怒り”が、一気に噴き出す。
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暴れる自分に、一番傷ついているのは本人
「自分でも、どうしてあんなことをしたのかわからない」
「お母さんを傷つけたことを思い出すと、自分が最低な人間に思えてくる」
爆発のあと、そう口にする子どもたちは少なくありません。
彼らは“悪気”があって暴れたわけではないのです。
むしろ、心の容量オーバーが限界を超え、言葉を使う余裕さえ失っていたのです。
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「大丈夫な子」は、大丈夫じゃないことがある
このタイプの家庭では、親御さんの戸惑いも深くなりがちです。
• 「まさか、あの子が暴れるなんて……」
• 「親としてどこで間違えたのかわからない」
• 「優しく育てたはずなのに、どうして」
でも、ここにあるのは“育て方の間違い”ではありません。
むしろ、「優しさ」や「期待」が知らず知らずのうちにプレッシャーになってしまった――
そんなすれ違いと抑圧の積み重ねなのです。
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回復には、“自分に戻れる環境”が必要
爆発した子どもがまず必要としているのは、
「反省」や「叱責」ではなく――*..
「“何者でもない自分に戻れる場”」
• 誰の期待にも応えなくていい時間
• 失敗しても、怒られずにやり直せる環境
• 言葉にならない気持ちを、少しずつ整理できる場所
抑圧型の暴力は、本人の性格や資質の問題ではなく、環境と関係性の問題です。
だからこそ、外の環境に身を置くことで、「自分を保つ力」を回復していくことができます。
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まとめ:優しさと抑圧は紙一重
「あなたはいい子ね」
「しっかりしてるね」
そんな言葉が、時に子どもにとっては“逃げ道を失わせる鎖”になることがあります。
問題が表に出ないまま、静かに追い詰められていく子ども。
その沈黙の奥にあるSOSを、私たち大人がどこまで感じ取れるか。
それが、暴力の爆発を未然に防ぎ、
「自分を責め続ける子ども」と「突然に混乱する親」の両方を守ることにつながっていきます。