
「どうして、うちの子がこんなふうになってしまったのか……」
そう語る親御さんの声には、深い戸惑いと、自責の念が滲んでいます。
家庭内で突然怒鳴りだす、物にあたる、親に暴力を振るう。
最初は「反抗期かな?」と受け止めていたものが、ある日を境に、“恐怖”へと変わっていく。
子どもを守るはずの家庭が、いつしか親が身構える場所になってしまう――
それが「家庭内暴力」の現実です。
けれど、私たちは知っています。
暴力の奥には、必ず理由があるということを。
そしてそれは、しばしば「親を苦しめたい」という気持ちとは真逆の、“助けて”というサインなのです。
1.「わかってもらえない」が怒りに変わる
子どもが暴れてしまうとき、その根底には必ず感情があります。
よくある理由としては、以下のものが挙げられます。
- 学校でうまくいかないけど、親に心配をかけたくなくて言えない
- 理解してもらえなかった経験が積み重なって、誰にも期待できなくなった
- 本当は寂しい、でも素直に「甘えたい」と言えない
こうした感情が、うまく言葉にならないまま、心の奥に蓄積していくと、ある日突然、それが「爆発」となって表に出てくるのです。
伊藤先生はよくこう話します。
「暴力を“意思”と見ないことが大事です。暴れているのではなく、“爆発してしまっている”だけなんです」
大人のように自分の感情を処理する手段を持たない子どもにとって、
「怒る」ことは、唯一の“自分を守る手段”であることさえあります。
2.暴力が日常になってしまう前に
私たちがこれまで関わってきた中には、次のような子がいました。
• お母さんと2人暮らし。言い争いになると暴れて物を壊す
• 外ではおとなしいのに、家では弟に手を出す
• 勉強や友達関係がうまくいかず、毎晩リビングで暴言を吐く
こうした行動は、最初は「一時的な反発」として始まります。
しかし、親がどう対応していいかわからないまま時が過ぎると、
それが『暴力を使えば自分の主張が通る』という誤学習になっていしまうのです。
暴力が当たり前になる前に、必要なのは「環境のリセット」。
そのための場所が、私たちLeadのような全寮制のフリースクールなのです。
3.Leadでやっていること
Leadでは、暴力という表面的な行動だけを見て対応するのではなく、
「なぜ、そうなったのか」を一緒に探ります。
そのために、まず行うのは“安全な距離”を確保することです。
- 家庭という戦場から一度離れ、自分の気持ちを整理できる環境をつくる
- 生活リズムを整え、乱れた心を立て直す土台をつくる
- 小さな成功体験を積み重ねることで「自分は変われる」という感覚を持たせる
子どもは、信頼できる大人との関わりの中で少しずつ変化していきます。
最初は誰にも心を開かなかった子が、1ヶ月後には笑顔を見せ、「親に手紙を書いてみたい」と言い出す。
そんな瞬間が、私たちの現場にはあります。
4.親が「悪い」わけではない
最後に一つ、どうしてもお伝えしたいことがあります。
それは――
お父さん、お母さんが悪いわけではないということです。
もちろん、親の関わり方が結果的に子どもを追い詰めてしまうことはあります。
けれど、それは「悪意」があったからではなく、「どう関わればよいか分からなかった」から。
Leadでは、子どもだけでなく親御さんへのサポートにも力を入れています。
オンライン面談を通して、親御さんの不安を一つずつ言語化し、再び“親子”としてやり直せる土台を整えていきます。
最後に.「壊すためではなく、立て直すために離れる」
「子どもと離れるなんて、逃げてるようで……」
そう言う方もいます。
でも、私たちはこうお伝えします。
“離れる”ことは、“壊す”ためじゃない。“立て直す”ための選択肢です。
家庭内での暴力は、時間が経てば経つほど、親子関係に深い傷を残します。
だからこそ、早めの環境リセットが必要なのです。
Leadは、親子にとってその第一歩になる場所です。
「うちの子にはもう無理かもしれない」
そう思ったときこそ、ご相談ください。